愛犬と泊まれる宿の収益と開業の流れ

課題 01平日の稼働率が伸び悩んでいる
土日は満室でも平日は空室が多く、稼働にムラがある。周辺の新規ホテルやチェーン進出により競争も激化。

課題 02リピーターやファンを獲得できない
一度きりの利用が多く、継続的に選ばれる“理由”や“体験”が打ち出せない。

課題 03価格競争に巻き込まれて収益性が下がっている
比較サイトでは価格が重視され、高品質でも選ばれにくい。単価を上げたいが方法がわからない。

課題 04インバウンド頼みの集客に不安がある
現在は訪日客の回復により稼働は確保できているが、外的影響の変化で先行きが不透明。

課題 05差別化が難しく、販促がマンネリ化している
プランや設備での差別化が難しく、広告費をかけても効果が感じられない。

これらの課題を抱える宿泊施設様にとって、愛犬との宿泊ニーズを軸にした取組みは、持続的な平日稼働・単価UP、またリピーターの獲得に向け有効な一手となります。
また“愛犬と泊まれる宿”という新たな選択肢から、今まで取り込めていなかった市場にアプローチし、新たな需要を生み出すことが可能です。

重　要　度★★★★★

取組難易度★★★☆☆

理由と背景ペット受け入れにおいて最も多いトラブルは「一般客と愛犬同伴客への配慮」「清掃・臭いトラブル」「備品の破損補償」の3点。
宿泊者の約8％が動物アレルギーともいわれる中、一般客との混在運用では明確なルールと設備が必要です。

整備すべき代表項目
✅ 客室エリア分離、排気や換気の個別対応
✅ チェックイン時のルール説明・同意書　｜例｜レジーナリゾート様の場合　／　わんわんパラダイス様の場合

まずは一般客と愛犬同伴客が快適に過ごせるような空間設計やサービスの工夫がそれぞれのリピート率やクチコミ評価といった宿泊満足度UPに向けて重要となります。

重　要　度★★★★★

取組難易度★★★☆☆

理由と背景飼い主の8割は“愛犬中心の旅行プラン”を立てており、犬が快適に過ごせるかどうかが宿の評価に直結します。

最低限整えたい備品例※客室1室あたり約3〜5万円
✅ ケージ、犬用ベッド、滑り止めマット
✅ フードボウル、ペットシーツ、脱走防止ゲート
✅ 足洗い場、消臭スプレー

愛犬の満足度が言い換えると「お客様の満足」へ繋がることから、宿泊満足度をはじめリピート率アップに向けて重要な指標となります。
一部わんちゃんの消耗品としての備品があるものの、多くの施設が販売価格とは別に犬のサイズに合わせ追加で金額を徴収しております。
｜例｜小型犬(10kg未満)：3,000円｜中型犬(10kg以上~25kg未満)：4,000円｜大型犬(25kg以上)：5,000円

重　要　度★★★★☆

取組難易度★★☆☆☆

理由と背景犬と泊まれるという“非日常体験”は、価格面での競争力が高く、宿のADR（平均客室単価）を押し上げる要素となります。
全国の旅館・リゾートホテルの価格帯別に見ると、犬同伴可能客室は通常より20〜40%上乗せが主流。

スタンダードプラン価格帯目安	通常客室ADR（1室2名）	愛犬同伴ADR（1室2名）	価格帯比較
星野リゾート（界）	約56,000円〜約80,000円	約68,000円〜約98,000円	約1.07倍〜1.58倍
亀の井ホテル	約20,900円〜約38,440円	約23,540円〜約43,640円	約1.12倍〜1.40倍
マイステイズ・ホテル・グループ	約31,600円〜約37,400円	約38,000円〜約46,420円	約1.18倍〜1.24倍

ペット連れ旅行者の平均客単価は、一般的な旅行者よりも20〜30％高いとされています（楽天トラベル「ペットと泊まれる宿特集・平均単価比較データ（2022年）
この高い客単価UPには明確な理由があり、わんちゃん用アメニティや部屋の特別仕様、食事の特別対応など、 「＋αのサービス」に対して費用を惜しまない傾向があるためです。

重　要　度★★★★☆

取組難易度★★☆☆☆

理由と背景「#犬と泊まれる宿」のInstagram投稿は月間1万件超。SNSでの自然な拡散が見込める市場です。

実施したい施策例
✅ フォトスポットやペット記念写真の設置
✅ TikTokやInstagramリールでの紹介動画
✅ ペット予約サイト（楽天・じゃらん・いぬやど等）への掲載
✅ 動物病院・トリミングサロンと連携キャンペーン

発信力のあるペットインフルエンサーとのコラボで、宿の認知が一気に拡大する可能性もあります。

重　要　度★★★☆☆

取組難易度★★★☆☆

理由と背景犬連れ客とのトラブルの多くは“スタッフ対応の知識不足”が原因です。
特にチェックイン時の説明、緊急時の対応は、事前の教育とマニュアル化が不可欠。

教育すべき主な内容
✅ 犬への接し方・安全な誘導方法
✅ 客室内の清掃マニュアル
✅ 吠え・噛み癖・粗相などへの適切対応

マニュアル化により、人手不足の現場でも対応品質が標準化されます。

重　要　度★★★★★

取組難易度★★☆☆☆

理由と背景いきなり全館対応は非効率。まずは10室からなどテスト導入で反応を見ながら軌道修正できる設計が理想です。

旅館・リゾートホテル向け ※売上シミュレーション（例）
✅ 犬同伴客室：10室の場合
✅ 想定ADR：28,000円（販売価格ADR 25,000円＋わんちゃん別途料金3,000円）
✅ 稼働率目標：平日40%、休前日80%
✅ 月間売上試算：約4,256,000円（平日22日＋休前日8日で計算： 平日：88室　休前日：64室 ＝ 合計：152室　× 想定ADR28,000円）
✅ 初期投資（設備・改装費：約150〜300万円）は約2〜3ヶ月で回収可能
※ 限界利益率を30%で見た場合で算出